毎日ぐだぐだし過ぎて、のんびりするという感覚が分からなくなってきた。
これじゃいけないと無理矢理に外に出た。

きのう不思議な夢を見た。あの角を曲がると、あの娘が待っていてこう言うんだ。
「私、お店を辞めて来たの。もう風俗嬢じゃないの。」
飛び起きるように目が覚めて、在籍する店の出勤状況を確認した。あの娘は退店
していた。正夢だった。

僕は路地を歩きながら、からからに喉が渇いていたのでファンタを買った。
蓋を開けると同時に角を曲がると、女性が立っていた。あの娘だ。超正夢。
「私、お店を辞めて来たの」
ああ、やっぱり。僕は嬉しくて彼女を抱きしめる準備をしていた。手にしたファンタ
の缶を道に置き、もじもじしていた。
「あのね、店も辞めたことだし、つまりはそういうことですから」
彼女の後ろにでっかい男が立っていた。超強面。

僕は、道に置いたファンタを拾い忘れたまま小走りで帰った。
家に帰って、そろそろ冬眠かな?と飼っている亀に相談した。亀は何も答えずに首
を引っ込めてしまった。




飼っている亀が、こちらを見て「元気出せよ」と言っていた。もちろん本当に喋ったわけ
ではないのだが、そんなふうにテレパシーを送ってくれた気がした。
僕はもう一度頑張ろう。もう一度元気になってみよう。

そう決めたところで、空回りする。
だからゆっくりとカメ吉を抱えて生きてみよう。

風俗嬢の女の子に恋をすることは、最初の四文字だけ取っ払ってしまえば
ただのよくある話だといえる。
これは"只の女の子"に、つまらない男が恋をしてるというだけの、よくある話なのだ。

僕の飼っている亀は元気である。しかし僕が身につけているカメ吉(こう呼んでる)はここ数ヶ月元気がない。
どうしてだろう。まだ若いというのに。
栄養不足か?運動不足か?いや違う。完全に心の問題だ。

カメ吉には忘れられない人が居る。
自分をやさしく受け入れてくれた、あたたかい巣の持ち主だった。

しかし彼女は風俗嬢という仕事柄、僕以外とも寝るのだった。
そのことを知ってから数ヶ月。未だ僕のカメ吉は何一つ本気を出せないままである。

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